ユニバース 1話
「お父さんお母さん!行かないで!!」
「明流。絶対帰ってくるからな!」
「絶対だよ?」
「おう!あとなーお前に渡したいものがある。ほら。」
「何これ?」
「これはな。俺の一番大事なものだ。」
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10年前に宇宙人が地球に攻めてきた。謎の超能力を使う宇宙人に対抗すべく科学力で侵攻を防ぐも状況は劣勢を極めていた。
しかし地球人にも超能力を獲得したものが現れ、状況は一変。そして地球人は宇宙人に勝利を収めた。その後近隣の星との交信に成功し宇宙同盟を成立させ、地球には宇宙軍が設立された。
―そして十年後―
舞台はどこにでもある平凡な家庭。ある少年が祖父母と暮らしていた。少年は今日も、両親の写真とある一振りの剣の前に屈み込み手を合わせる。そしてそのあとご飯を食べ、学校に向かう。いつもの日課だ。
「そんないつも手を合わせてご苦労なこったな。こんなことしても親は帰ってこないだろうよ。」
祖父だ。いつも嫌味を言いいに来るが最近は少しそれがひどくなっているように感じているが、年のせいだろうといつも大目に見ている。が、次の一言で堪えていた感情が爆発する。
「大体、人のためだか知らんが宇宙戦争なんて訳の分からないところに行くから死ぬんだよ。もう少し考えりゃわかんだろうが。くだらない死に方だよ全く。」
「なんだよそれ。まだ死んだかはわからないだろ!それに俺は父さんと母さんを誇りに思ってる!いくらお祖父ちゃんだろうとそんな言い方は許せない!」
両親は俺に行く前に絶対帰ると言ったんだ。みんなは死んだと言っているが、死体は見つかっておらず、本当に死んでいるかがわからない以上俺は諦めきれないんだ。
「でも現に今帰ってきていなしな宇宙に放り出されたならなおのこと助からないだろ。今もあの時の行方不明者がほかの星で見つかったりしてるんだ。アイツらが見つかるもの時間の問題だね。」
「俺が宇宙軍になって探す。」
それはこの家族にとって禁句であったが怒りのあまり出てしまった言葉だった。
「てめぇまだそんなこと・・・」
ゴーン!!!
「痛ってぇな!なにすんだ!」
「やめなさい。大人げないですよ。
お祖母ちゃんだ。俺らがくだらないことで喧嘩しているのを止めてくれたんだろう。
「ほらご飯できてるよ。みんなで食べましょ!」
さっき喧嘩した所為かすごく気まずい。無言のまま食事を終え、学校に向かう。おじいちゃんと目を合わせるも無言。
「行ってきます!」
無音の家の中で俺の声が響き渡る。
「行っちゃいましたよ。あの子も諦めは付いているんでしょうからあんまり言わない方があの子にとってもいいと思いますよ。」
「あいつはまだ諦めてねえよ。目を見ればわかる。それにさっきの発言も。超能力も使えないのに宇宙軍に入るなんざただの雑用になるに決まってる。アイツの悲願が叶うことなんてねえんだ。だから俺が現実を教えてやらなきゃならねぇんだよ。」
「気持ちはわかりますけどあの子も若いんだから切り替えられないところもあるんですよ。帰ったら謝ってくださいね。」
「わかったよ。俺もさすがに今日は言い過ぎたと思ってるよ。」
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少年の名前は
何があったのか簡単に説明すると彼には超能力を扱う才能がないらしく、最前線で活躍するのは難しいとのことであった。しかし彼は宇宙軍には医療や、化学、無能力の軍隊などもあり現在その方向での活躍を目指している。
場所は変わり学校
「おっす明流!」
「おはよー。」
元気よく挨拶をするのは彼の小学校からの親友である
「なんか元気ないじゃない」
話しかけたのは幼馴染の
明流は今朝あったころをざっくりと話した。
「おじいちゃんも心配してるんだって。超能力使えなくたって危険と隣り合わせなんだぞ。なんか死ぬ可能性がある的な誓約書も書くらしいし。俺も親になったことねーからわからねーんだけどさ、息子が、まあ孫か。どっちでもいいや!自分の大切な人が自ら危険を冒そうとしているのを止めない親はいないと思うけどねー。」
「あんたまじめなこと言うのね。私も小さいころから知ってるけど悪い人じゃないんだからあなたも少し大人になって謝っときなね。それにもういつ死んでもおかしくないんだからこれが最後の会話にならないように。」
「おい!言い方!」
「あ!ごめん!」
光莉は一言多いところがありそれは周りからよく思われないこともしばしば。だけど二人が言っていることは最もだ。おじいちゃんは両親がいなくなってから本当の子供のように育ててくれたし何も不自由を感じたことはない。朝の発言も俺を思ってのことだろう。
「二人ともありがとう。帰ったら謝るよ。」
2人は笑顔で頷く。
「そこにいるのは誰かと思ったら無能力者明流くんではないか。そんなところで何してるんだい?」
皮肉を言ってくるのは
「何の用だよ。」
「いや、なにも?超能力に選ばれなかった君は今後どうするのかと思ってね?」
「他の部隊を目指す。これ以上話すことはないだろ。」
「他の部隊?はっはっはっははっはは!これは傑作だ!それで本当に宇宙に行けると思っているのか?化学班や医療班は専門的な知識がなけりゃ厳しいしかなりの競争率、無能力部隊だと超能力部隊の壁になって死ぬこともあるしそもそも超能力者に対抗できないから一般の犯罪者の確保から雑用しかできない。そんなんでお前満足なのか?お前の親を探すって気持ちはそんなもんか?ww」
「やってみなきゃわからないだろ!」
「明流!」熱くなる俺を光莉が制しさせる。
「こんな奴とまともに話しても気分が悪くなるだけでしょ!行くよ!」
「まぁせいぜい頑張れよ負け犬ww」
呂亥の取り巻きも笑っている。
―キーンコーンカーンコーンー終了のチャイムが鳴り響く。
下校の時間である。
下校中3人は呂亥の話題で持ち切り。
「アイツなんであんなこと言うかね」
「浮かれてるんでしょ。自分が特別なんだって思ってんのよ。」
「でも超能力者も多いわけじゃないからな一年に一人もいない時もあるんだろ?そう考えれば特別だよな」
「陽史?」
「あ!ごめん!」
完全にデジャブ。二人は似た者同士なんだな。
「いいんだよ。おかげで諦めがついた。俺にはおじいちゃんや、おばあちゃん、そしてお前らが居てくれれば何もいらないよ。俺は幸せ者なんだって今日改めて思ったよ。ありがとう。」
「・・・」二人は少々沈黙する。その沈黙を振り払うように「なんだよ~うれしいこと言ってくれるじゃん~!俺らはずっ友だな!」
「え~気持ち悪いやめて~」光莉は気持ち悪がるがまんざらでもなさそう。
2人の笑顔を見ていると俺は幸せ者だと、さらに実感できた。もう不釣り合いな夢を追うのはやめよう。そう決意した。
「また明日な~。」
彼らとは途中で別れ自宅につくとなんだか嫌な予感がしてとっさに家に入る。
静まり返っている家の中。いつもなら「ただいま」と一声あるもののそれもない。明流は焦る。そして家の中を必死に探す。
―どうしてだよ。なんでいない。いつもいるのに。買い物?そんなわけがない。用事があるならいつもお祖母ちゃんは俺に言う。それにどっちかは家にいるはずだ。返事がないなんて。どういうことだ。これで最後?あれが?いやな想像がよぎったその時!
「!?」明流は思考停止した。目の前の光景が想像絶するものであったからである。そこには血まみれの祖母の姿が、そして親の形見の剣を必死に何者かから守っている祖父の姿。そしてその何者かは明らかに異形の姿をした宇宙人。超能力者であった。
次回に続く