ユニバース第2話中編
そいつの風貌は地球人のそれに近いが地球人にしてはあまりに巨漢で肌が黒すぎる。そして何故か背中からゴツゴツしたものが、生えている。少しの間、明流は動かないでいると、
「やめてくれ。それは大事な孫の剣なんだ!」
「ははっ!そんな大事なもんなら守れるくらい強くなってみろよ!」
「ぐぁ!うっ!」
「おい、そこのお前、誰だ?」
「えっ!あっ。うぐっ。」
「明流逃げろ!」
いきなりのことで上手く声が出せない。そして懸命な祖父の叫び。自分は初めての状況で、足がすくんでいる。対して単純な戦闘力で言ったら明流よりも弱い祖父は懸命に剣を守るために宇宙人の攻撃に耐えている。自分が情けなかった。あれだけなりたいと言っていた宇宙軍。しかし現実は厳しいもの。身を持って知った。なのにこの仕打ち俺は何したのだろうか。たが、思考を巡らせあるうちに明流の緊張が和らいでいく。そして深呼吸をすると、
「よし!俺も男だ!うおー!!!」
「まっ...」
ドゴッ!バァン!
「うっ!はぁ、はぁ、はぁ。」
それは一瞬だった。明流が意を決して殴り掛かろうとするも宇宙人はもろともせず蹴り飛ばす。
「おいおい、まさかそれが本気って言わねーよな?」
「あぁこれから本気出すよ!」
そう言って明流は宇宙人にむかって剣を向ける。
「てめぇ、いつの間に!」
「俺だって闘えるんだ!」
「あっ?舐めてんじゃねーよ。剣を手にしたくらいでよ。」
ヒュン!明流に向かって何かが飛んでくる。それは黒く固い刃であった。必死に避けるもそれは明流の左腕を抉る。すかさず追い討ちを掛ける宇宙人に対し、剣を振るうも届かず。さらに向かってくる無数の刃、明流は死んだと思った。
ザシュッ!
「おじいちゃん!なんで!」
それは明流にとって予想外の出来事であった。あの頑固な祖父が自分ではない誰かを守って死ぬなど。それは祖父からしたら間違った死に方なのだから。
「なんでだぁ?おめぇな知ってるか?親より先に死ぬやつは親不孝って言うんだよ。お前は生きろよ。」
「じいちゃん!昨日の朝のこと俺間違ってたよ!ごめん!俺宇宙軍に入らないから。お願いだから死なないで!」
「あ?うるせえよ。何勘違いしてるか知らねぇが俺は宇宙軍に入れって言ったぞ。」
「え?じいちゃん?」
「俺はなお前が自分で死にに行ってるんじゃないかと思って心配してたんだ。でもよ俺の勘違いだったみたいだな。だがなお前も勘違いしてるかもしれないから言っておくけどな、俺は俺の息子と娘つまりはお前の父ちゃんと母ちゃんのことは誇りに思ってる。俺の自慢の子供だ!お前のアイツらの子供なら泣きべぞかいてねぇで戦え。お前なら勝てる。なにせ俺が認めたただ一人の男の息子だからな。明流、アイツらは生きてるぞ。だから突き進め、絶対に負けるなよ。」
祖父はそう言って息耐えた。負けるなそういっていた。祖父の言葉を信じて明流は立ち上がる。
「お別れの挨拶はすんだか?」
宇宙人が小馬鹿にしながら伺う。その瞬間主人公が駆け出す。
「うぉぉぉ!」
「おいおい、何も学んでねーのかよ。真正面から突っ込むなんて。」
そして刃を飛ばす宇宙人。しかし、それを避け明流はさらに宇宙人に近づく。
「なんでよけれる!」
そしてさらにくる刃を避け、宇宙人の懐に入ったところり剣を振りかざす。
キーン!金属と金属が鳴り響く音がした。
「へ!背中にしかないと思ったか?言っとくけどな俺のこの刃は体中どこにでも移動できる。無能力でここまで近づけたことは褒めてやる。だがな俺様とは住む世界がちげーんだわ!」
ザクッ!真正面から無数の刃をもろに受ける。返り血とともに吹っ飛ばされる明流。
「ま無能力でここまでやれた褒美だ。俺の名前を教えてやる。ゴストロ・ブラトンだ!まあもう死ぬお前には関係なけどな。」
奴が話しているが何を言っているのか聞こえない。体が生暖かいのを感じる。そして明流は自分の運命を悟る。自分の死を。
(いや、違うだろう。俺はまだ死ねない!アイツを倒して宇宙軍に入って俺の親を見つけ出すまでは。力が欲しい。)
―ここから生き延びたいか?―
どこからともなく聞こえたその声は続けて問う。
―お前はアイツを倒す力が欲しいか―
後編へ続く