死んでもあなたに恋してる 2話

「ここはどこ?」

「やっと目覚めたかい?何でここにいるのはわかるかい?」

「それが何が何だか」

「最初は誰もそういうのさ」

「君自身の記憶をのぞいてみると言い。最後の記憶をね」

少女が目覚めたのは青空のもと何もない草原その中央に木が立っている。そこには見知らぬ男が立っており、少し話すといきなり水晶玉を取り出し少女に見せた。

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―葬儀場―

今日は水咲の告別式。

水咲の母が喪主を務める。受付にいるご両親に挨拶をして席に着く。この時春樹は1人できていた。他の4人とも今は顔を合わせる気分にはなれなかった。

告別式は春樹にとっては地獄の時間だった。今まで当たり前のように目の前にいた人が永遠にいなくなって遠く手の届かないものになってしまいそうで、彼女の顔すら見たくなかったが春樹の家族や友達の呼びかけもありこうして出席している。人は本当に悲しいときは涙も出ないと誰かが言っていたことを思い出す。前は全力で泣くものだろうと思っていたが、

「こういうことか」

春樹はつぶやく。なにも考えることができず告別式が終わり、通夜振る舞いに移る。席に移動している時、春樹と4人が合流。今日は誰とも話したくなかったんだがと思っていると、ご遺族も寄ってきた。今は最も春樹は話したくない人であったが。沈黙する春樹達に一言、

「ありがとうね。水咲も天国で喜んでるよ。あなた達が水咲のお友達でよかった。春樹君ありがとうね。水咲は家に帰ってきたら春樹君のことばかり話しててね、すごく楽しそうにしてて本当に幸せだったと思う。あなたが水咲と付き合ってくれて本当に、ほん、とうに、、、う、うううっ」

「無理をするなよ。すまないね君たち。つらい思いをさせてしまったね。僕からも言わせてくれ、本当にありがとう。」

堪えきれずに涙を流す母をそっと方で抱き寄せる父。その二人の表情は何物にも言い表せないほどにいろいろな感情が渦泣いているように感じた。

(俺たちを励ましてくれているのか一番つらいはずなのに。)

そう思うと春樹は葬儀場を飛び出していた。

「おい!春樹!」

達也が呼びかけるも反応はなく、彼は止まらなかった。

「春樹あいつ」

追いかけようとした達也の手を一つの手が掴む。

「おじさんなんで!通夜は出なきゃ!」

「今は一人にさせてあげよう。彼はまだ高校生なんだ。煮え切らない思いがあるんろう。」

「わかりました。ごめんなさいおじさん。おばさん。」

通夜は出るのが基本的に常識だ。そこにはご遺族の感謝が含まれている。親しいものであったならなおさらだろう。そんなことは春樹もわかっていた。しかしどうしてもあの場にこれ以上留まることができなかった。

春樹は近くの公園のベンチで座っていた。春樹はこれまでの水咲との思い出を振り返っていた。いろんなことをした。普通に公園であそんだり、ご飯を食べたり、買い物をしたり、映画を見たり、水族館に行ったり、海に行ったり、家に行ったり思い出にすると数えきれない。そんな思い出に浸っている時、4人の足音が近づいてくる。

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「これ私の告別式じゃない」

「驚いたな。意外と冷静なんだな」

「えー。人って死ぬとこんなもんなんじゃないの?それにこんなこと言ったらお父さんやお母さん、それに春樹達だって怒るかもだけど残されるよりはましかなって思っちゃうのよね。」

「以外にドライなんだな」

「でも生きたいのは生きたかったよ。春樹とあんなことやこんなこともしたかったしね?でもやっぱりまだ実感がないっていうか。」

「ゴホン。いい悪れていたけど君の想像は今だけ君に入ってくるんだ。少し不適切な発言は慎んでもらおうか。」

「え?うそーーー!いじわる!」

自分の想像を覗かれ顔を赤らめる水咲。この謎の人物との会話が自分の死んだことを決定づけていることに少々残念がるも実感がないからかあまり悲しみや悔しさなどの感情がわかないのも事実。これは殺される前の記憶を失っているのも1つの理由としてあるだろう。

「それで?ここは天国でいいの?」

「そうだな...」

男は少し考えて続ける。

「そうとも言うし、そうとも言わない」

「どういうこと?」

「特に名称なんてないんだよ。死後の世界っていうのが一番合っているのかもしれないけど、君たちで言うところの黄泉の国やら冥府やら天国やら地獄やら好きな名前で呼ぶといいよ。」

「そう。特に名前はないのね。じゃあ水咲界なんてどうかしら」

水咲は真顔で言う。笑子と2年半くらい共に過ごしてかなり侵されてしまったのか少し心配してしまう。

「君は自分で言っていて恥ずかしくないのかい」

「冗談よ!私の仲いい友達だったらそういうかなってね」

「そうか。まあ無駄話も私は好きなんだが、時間もない。これから行ってもらう世界を選ぶとしようか。」

そう言うと男は水晶玉を取り出す。

3話へ続く