ユニバース 2話後編

「誰だ!」

ボロボロのなか明流は力を振り絞り声を出す。

―どこを見てんだよ―

どこから声がしてるのか周りを見渡しても誰もいない。ふと剣を見る。確かに声が聞こえたのは剣のあたりからなのだが、まさかと思い語り掛ける。

「まさか。剣がしゃべってる?」

―やっと気づいたか―

まさかと思ったがどうやら本当に剣がしゃべっているらしい。確かに超能力やら10年ほどまでは非現実だったものが現実のものとなっているから剣がしゃべっていても不思議ではないかと明流は納得する。

「お前何者だ。」

―そうかお前親父から何も聞いてないか。―

「俺の親を知ってるのか?」

―知っているも何も前に俺を使っていたのはお前の親父だよ。アイツは俺のことを使いこなせなっかたんだがな。―

「お前何を知って...」

―とりあえず時間がない。わかってると思うがアイツの能力は背中の刃を飛ばす能力だ。そして背中の刃は体中どこにでも移動できる。だからお前はさっきやられたんだ。今から俺の力をお前に流す。とりあえずアイツを倒せ。細かいことはそのあとだ。―

「おい!話を勝手に進めるな!俺はどうすればいいんだよ」

返答がない。ずいぶんと身勝手な剣だな。と思いつつも自分の体に感じる確かな違和感に気づく。

「あれ?うごける?」

自分の体に感じたことのない違和感を覚える。

「おう?まだ動けるのか?しぶてーやつだな。さっきので死んでれば苦しまずに済んだのにな!まあいい食らえ!」

明流は自分の体を確認する。確かに傷はあるが痛くない。これが力というやつか?明流は目の前の刃に目を向ける。‘見える!‘今さっき感じた確かな違和感の正体。それは自分の体が強化されているということ。自己治癒力、自己免疫力、筋力、体力、柔軟性、動体視力様々な能力が強化されている。明流はさっきとは違い、目で追えるその攻撃をよけるとすぐさま近づき懐に入る。

「なっ!」

「うおおおお!」

そこで剣を一振り。

パキン!金属音が響き渡りブラトンは吹っ飛ばされる。間一髪で結晶を腹部まで移動させ傷を最小限に抑えたのだ。しかし無傷ではなくブラトンも傷を負う。

「くそ!なんだお前今の動き!」

「さあな俺にもよくわからねえよ!でもやっと希望が見えたんだ。お前に負けるわけにはいかねー!」

「お前何か勘違いしてないか?俺はまだ本気を出してないんだぜ?今の俺に一撃入れたくらいでいい気になってんじゃねーぞ!」

そう言うとブラトンの周りに無数の(先ほどとは比べものにならない数の)刃が飛んでいる。

「なんの間違いかはわからねーがもう油断はしない。いいか、お前はたった一度の勝機を逃したんだ。後悔するといい!」

そして無数の刃が明流に向けて発射される。向かい来る刃それを何とか捌いていはいるものの近づくことも動くこともできず防戦一方。

「ほら、さっきまでの威勢はどうした?」

これでは体力は削られていく一方。せっかく手にした力。このまま手放すわけにはいかないがこれではいずれこっちの体力がなくなり最終的にはやられてしまう。

「悔しかったら向かってきてみろよ。」

相手は余裕の様子。確かに立ち止まっていては埒が明かない。決死の覚悟で近づこうとすると。

―待て!―

「お前今までどうしてたんだよ!呼びかけても反応しないし!しかも待てってこのままじゃ!」

―今まで超能力を仕えなかったから仕方ないが弱点はどこかにあるはずだ。それがわからず闇雲立ち向かってもやられるだけだぞ。―

「じゃあどうすれば!」

―だから待てと言っている。―

「なんで!」

―アイツの背中の刃あとどれくらいある?―

「え?あ!減ってる?」

―そうだ。アイツの刃にも限りがあるってことだろう。体の血液を使っているのか。自分だけの特殊な構造なのかどっちにしてもあの刃がなくなればスキが生じる。肉弾戦になればこっち分がある。おそらくアイツが挑発をしてくるもの早くケリをつけたいからだろう。だから今は待つんだ。―

「なるほど。わかった!」

そう話しているうちにブラトンの刃も残りわずか。

「おい!そのままじっと待っていても何も変わらないぞ?いいのか?」

相手の焦りもピークに達している。そして...

「あれ?」

とうとう刃がなくなる。

「くそー!」

肉弾戦になればこっちに分がある。そして明流は高速で移動しブラトンの懐へ。

ザクッ!

「うあー!」

明流は勝利を確信したその時、突如もうないはずの刃が背中に命中。何が起きたのかわからなかった。

「へへっ!これが超能力の戦い方だよ。切り札は最後に取っておくのさ。まさか俺にこんな手まで使わせるとはなやるじゃねーか。あばよ!」

その後無数の刃が明流を襲う。俺の人生はこれで幕引きか。悔しいな。まだ死にたくない。そう思いながら明流は目を閉じた。

3話へ続く