ユニバース 2話 前編
30分前
「しっかしあいつなんなんだろうな〜。本当に現実見ろってなー。」
「なぁ呂亥。もうあいつに関わんなやめておけよ。つまんねーってあんまり反抗してこないし、あいつの取り巻きがいるから心も折れねーしな!あいつが嫌いなんだろ?その超能力でボコボコにしちゃえよ!」
「ふん。お前ら凡人に何がわかる。少なくとも俺はお前ら見たいにくすぶってる奴らよりは夢見てそこにひたむきに頑張ってる奴の方が好きだぞ。」
「!?」
取り巻きと歩いている呂亥。意外解答で取り巻きも驚く。しかし、呂亥は変わってるから受け流し、話を終わらせる。
「お前はすげーよなぁ。みんなあなたみたいに夢を叶えられるほど強い人間じゃないのですよ。俺ら凡人は分相応な人生を謳歌してるよ。じゃあな〜。」
「ふん。くだらない奴らだな。しかしあいつももうちょい見込みのある奴かと思ったら、拍子抜けだったな。ん?」
何かを見つめる呂亥。彼は何か不審な人物がいることに気づく。奴ら何をしているんだ?すぐにそれは地球人の面影でないことに気づく。
「おい!お前ら何をしている!」
「なんだお前地球人風情がやんのか?」
「な、なんだや、やんのか?」
いきなりの宇宙人登場に縮み上がる呂亥。それもそのはず超能力が使えるとはいえ実戦はしたことがなく、ましては超能力をまともに使ったことすらないのだから。
少しの沈黙に宇宙人たちはざわつく。
「おい!早くかかってこいよー。しっかりしてくれよ。」
「あいつ雑魚そうだからやっちまおうぜ?」
「あーちくしょー!やってやろうじゃねーか。」
しかし流石の呂亥。ここで逃げたら一般市民が危険な目に遭ってしまう。それどころか学校のみんなに笑われてしまう。そんなことを考えながら、気持ちを持ち直す。市民を守るためと自分の威厳を守るために決死の一撃を繰り出す。ここで彼の能力は明かさないが上手く発動し宇宙人を倒す。
「見たことか!俺には誰も勝てないんだよ。」
「カット!」
パチンと木で叩いたような音が鳴り響く。呂亥は慌てて振り返ると強面の一人の男とその取り巻き何人かが立っていた。そして中にはカメラや、マイクなどを持ってる人がいる。紛れもなく地球人だ。
「ちょっと困るよー。君宇宙軍?君たちのための宣伝で撮ってるのにさー。台無しにしないでくれよー。下手したら死んでるよ?あれ。」
強面の顔面とは裏腹に少しゆったり口調の男。呂亥は状況を悟った。だが少し納得ができない。
「そちらのキャストや着ぐるみを台無しにしてしまったことは謝罪しよう。しかしこの街中でやるのもどうかと思うぞ。」
「あー。口答えかー。やになるよ。君が宇宙軍になってままないからいいものの本当に宇宙軍だったら死んでたよ彼ら。」
「ふん。鍛え方がなってないってことだろ。」
「おめぇ!」
「そこまでだ!」
瞬間誰もが驚いた。呂亥が一目散に駆け寄る。
「支部長!どうしてこんなところに!」
「お前の覚悟を見たかった!あと皆様に謝らないといけないことがあります。ここで宇宙軍の撮影をしてくれと頼んだのはこいつが宇宙軍に入るに足るか試していたのです!」
男はそう言うと続けて
「呂亥、よく逃げず立ち向かったな。だが本当に宇宙人だったら絶対一人で戦うな!何があるかわからないからな!」
「ここで逃げたらみんなに危険が及ぶと思ったので。って支部長が見届けに来てくれんですか?」
「いや?なんかこの辺りなーんかこの辺り嫌な予感するんだよねー。支部長の感?笑」
「え?じゃあさっきのは?」
「え?あーうそうそ。」
宣伝メンバーが注目している中、聞こえない程度の小声で支部長が言う。
「ま、そう言うことで呂亥には言いたいことあるけどそれより先に・・・」
見つめる先は明流の家の方角。
呂亥は何か嫌な予感がした。
次回に続く